胃がんとは?

胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜内の細胞が、何らかの原因でがん細胞になって無秩序に増殖を繰り返すことで発生します。
がん細胞は、胃がん検診などで見つけられる大きさになるまでには何年もかかり、大きくなるにつれて胃の壁の中に入り込みます。その後、胃の外側にある漿膜(しょうまく:結合組織でできた丈夫な膜)へ広がり、さらに近くにある大腸や膵臓にも広がっていきます。

主な原因は?

胃がんの原因については、さまざまな研究が行われ、特に強いリスク要因として挙がっているのが、ヘリコバクターピロリ菌への感染です。WHO(世界保健機関)では、確実な発がん因子としての認定がされています。

他にも、塩分の多い食品や燻製食品の過剰摂取、野菜・果物の摂取量不足、飲酒、喫煙、保存状態の悪い食品を多く食べるなど、食習慣や生活習慣の乱れが挙げられます。また、高齢者や男性、慢性胃炎や胃のポリープがある、胃がんの家族歴があるという場合も胃がんを発症するリスクが高くなります。

症状

早期の胃がんでみられる症状には、以下のようなものがあります。

  • 消化不良や胃の不快感
  • 食後の膨満感
  • 軽度の悪心
  • 食欲低下
  • 胸焼け

また、胃がんが進行すると、皮膚や白目が黄色になる黄疸、腹水(腹腔内に液体が溜る状態)、食べ物が飲み込みづらくなるなどの症状がみられるようになります。

検査法・診断法

胃がんが疑われるときには、胃の内視鏡検査や胃X線検査を行います。
胃がんの広がりを調べる検査としては、胸部X線、腹部超音波(エコー)、CT、直腸検査、血液検査などを行うこともあります。

治療法

手術(外科療法)
がんの病巣を手術で除去する治療法で、原発巣だけでなく、他の部位に転移した転移巣も取り除きます。
がんそのものを外科手術で除去する局所療法で、がんの治療法として最も基本的な治療法となります。

抗がん剤(化学療法)
化学物質(抗がん剤)を利用して、がん細胞の増殖を抑えて、がん細胞を破壊する治療法です。
全身のがん細胞を攻撃・破壊し、体のどこにがん細胞があっても攻撃することができる全身療法です。一般的に、胃がんは化学療法のみで治療することが難しく、がんが進行している場合は、手術後に補助化学療法を行います。また、延命や症状の緩和のために化学療法を行う場合もあります。

放射線療法
腫瘍の成長を遅らせるため、または、縮小させるために放射線を使用する治療法です。
がんに侵された臓器の機能と形態の温存が期待できます。局所療法であるため、全身的な影響が少なく、高齢者にも適応でき、患者様にやさしいがん治療法と言われています。

免疫細胞療法
身体の免疫を担う本人の細胞を体外で大量に数を増やし、機能を増強、あるいは付加したうえで体内に戻して行われる治療法です。
近年注目されている副作用が少ない治療法で、目に見えないがんや転移防止に有効な全身療法です。

よくいただくご質問

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胃カメラでの胃がん検査は、毎年受けた方がいいでしょうか?


日本は未だに胃がんが多い国の一つです。胃がん検診を受けることで、胃がんによる死亡の危険性を50〜60%ほど低下させると報告されています。
公的検診では50歳以上の方を対象に2年に1回行われていますが、胃がんの種類によっては早期発見が極めて困難で、進行が早いものがあり、胃がんリスクが高い方は、年に1回の検査を加えて毎年検査を受けて、症状が出ない早期の段階での異常発見に努めることをおすすめします。


胃がんの検査方法には、どんなものがありますか?


主な胃がんの検査方法として、X線造影検査と内視鏡検査があります。

X線造影は一般に「胃透視」と呼ばれるバリウムを飲んで行うレントゲン検査です。患者様にとっては比較的簡便で、それほど苦痛を伴わない検査法ですが、小さな病変が発見しにくい、微量の被ばくがある、異常が見つかった場合に改めて内視鏡検査(胃カメラ)を受ける必要がある、などのデメリットがあります。

内視鏡検査は一般に「胃カメラ」と呼ばれている検査法で、口からスコープを挿入して胃や食道などを直接観察し、小さな病変を発見することができます。病変が疑われる際には、組織検査ができるメリットがあります。スコープが舌の根元を刺激することで吐き気が誘発されて苦痛を伴うことがあり、このデメリットを補うために、鼻からスコープを挿入する経鼻内視鏡検査も行われています。

また、進行胃がんであれば、CTや超音波(エコー)検査で発見されることもあります。


胃切除には、どんな方法がありますか?


胃がんの手術の場合、胃そのものだけではなく胃周囲のリンパ節を含めて切除を行います。切除の範囲は、胃がんの種類、位置、広がり、深さなどにより決定します。
切除法は切除範囲の少ないものから順に以下のとおりです。

  • 局所切除
  • 分節切除
  • 噴門側胃切除
  • 幽門側胃切除(2/3以上の胃切除)
  • 胃全摘

リンパ節に関しても、病変に応じて病変近くの1群のみの切除や、1群より広い範囲の2群までを切除する場合があります。
胃切除後は、残った胃と十二指腸、あるいは小腸を縫合します。胃全摘の場合は、食道と小腸を縫合します。


胃がんの原因は何ですか? 予防法はありますか?


胃がんが発生する原因については、さまざまな研究が行われており、いくつかのリスク要因が指摘されています。
胃の粘膜内の細胞が、何らかの刺激や原因によって「がん細胞」となることで胃がんが発生します。
胃がんの主なリスク要因としては、以下のものが挙げられます。

  • 塩分の摂りすぎ
  • 喫煙
  • 多量の飲酒
  • ヘリコバクターピロリ菌*

<胃がんの予防法>
胃への刺激を減らすことで、胃がんのリスクを下げることができます。

  • 塩分が高い食品の摂りすぎに注意する
  • 野菜・果物をきちんと摂る
  • 禁煙する
  • 節酒・減酒する
  • ヘリコバクターピロリ菌の除菌を行う
  • 胃がんの定期検査(胃カメラ)を受診する

※ヘリコバクターピロリ菌とは?
胃にとりついて炎症を起こす細菌で、50歳以上の場合、約70%以上の方がピロリ菌に感染しているとされています。胃がんの危険因子の一つとされています(感染した人の全てが胃がんになるわけではありません)。


ピロリ菌の除菌をしたら、胃がん検診は受けなくても大丈夫ですか?


ピロリ菌の除菌を行ったことは、胃がんになる危険性が低くなったということに過ぎず、ゼロになったわけではありません。
ピロリ菌除菌後も、定期的に胃がん検診を受診することをおすすめします。


胃がんの手術後、通院はどれくらい必要でしょうか?


胃がんの進行度や個人差などによって異なりますが、術後5年までがひとつの目安とされています。
再発の危険性に応じてCTスキャン、超音波検査、内視鏡検査、血液検査などを行います。
新しいがんの発生も考慮して、5年後以降も毎年検診を受けるようにしましょう。