特殊な手術や治療法
くるめ病院胃腸科で実施可能の特殊な手術や治療法をご紹介します。
抗TNFα抗体製剤による治療(生物学的製剤)
- 治療用途
クローン病や潰瘍性大腸炎の活動性を抑えます。 - 抗TNFα抗体製剤の種類
抗体とは、特定の異物(抗原)に特異的に結合して、その異物を体内から除去する物質をいいます。こうした抗体の働きに着目して開発されたのが「抗体製剤」で、クローン病や潰瘍性大腸炎において、大腸の炎症に深く関与しているTNFαの働きを抑えるために開発されたのが抗TNFα抗体製剤です。
インフリキシマブBS*:点滴タイプ
下痢や軟便、血便などの自覚症状が認められる患者様、それらの症状により外出などの日常生活が制限される、あるいは入退院を繰り返しているなど、生活の質(QOL)が低下している患者様に対して、BSによる治療を行います。
※2019年9月にレミケードからBSへ切り替わりました。
ヒュミラ:注射タイプ、ペンタイプ
遺伝子工学技術の進歩により、人間の体内に存在する抗体に類似したもの(これを専門的に「ヒト型」といいます)を作れるようになりました。ヒュミラは、 マウスのたん白を含まないヒト型の抗体製剤です。
シンポニー:注射タイプ
国内では2011年に承認された最新の生物学的製剤で世界40以上の国と地域で使用されています。4週に1回の投与で済むため、TNFαの働きを抑えるため薬の中では投与方法がもっとも簡単であることが特徴です。
- 治療方法
※投与のタイミングや回数に関しては、ご来院いただき、詳細なご説明を行います。
- 費用について
保険治療のため、特定疾患医療受給を受けている方は本療法に対する特別な負担はありません。非受給者の方の詳しい費用についてはお問い合わせください。 - 予期される効果
投与開始6週後には非常に高い割合で強い症状改善効果が確認できます。場合によっては初回投与の直後から効果を実感できる場合もあるようです。またBS投与により寛解を持続できた患者様の約半数で、BSを中断しても寛解状態を維持できたという報告もあります。 - 副作用
治療中または、注射終了後に発熱、頭痛、発疹などの症状があらわれることがあります。これらは投与時反応(infusion reaction)と呼ばれるもので、医薬品などの異物が体内に注入されることによって起こるアレルギー反応の一つです。
対処法として、注射前にアレルギー作用を抑える医薬品などを投与したりします。もし、体の異常を感じたときは、遠慮せずに主治医や看護師にお伝えください。また、2~3日後に起こることもありますので注意してください。免疫の働きが低下し、感染症にかかりやすくなることがあります。風邪のような症状など体調の変化があらわれた場合には自己判断せずに、主治医などに連絡してください。また、関節痛、筋肉痛、発熱、発疹などの症状が出ることがあります。 - 抗TNFα抗体製剤の治療を受けるには
ご来院いただき受診してください。治療に関する詳細なご説明を行います。
内括約筋切除術
- 治療用途
直腸がん
- 内括約筋切除術とは
直腸の下部にがんが発生しても、肛門のぎりぎりのところで直腸を切除し、肛門を残す術式である「超低位前方切除術」がありますが、適応ではない患者様も多数いるという事実がありました。
新しい肛門温存手術として登場したのが、「内括約筋切除術」です。この手術は、括約筋という肛門の開閉を司る筋肉の一部「内括約筋」を切除し、肛門を残す手術となります。この手術により人工肛門となる方の数が、著しく減少していきました。 - 特徴
括約筋には内括約筋・外括約筋があり、内括約筋は肛門のすぐ外側、外括約筋はその外側に位置しています。がんが外括約筋まで達していない方が対象となりますが、上記の超低位前方切除術の適応でなくとも、肛門を残すことができるようになりました。腸と腸をつなぎ合わせたところが肛門に近いと、一時的に半年間ほど人工肛門となることはありますが、閉鎖したあとは、本来の肛門から排便をすることができます。
- 予期される効果
直腸がんの手術後に人工肛門が不要となります。
- 手術実績
くるめ病院では、2004年から2013年までの10年間に253例の直腸がん手術を行いました。
直腸部位別のがん発生頻度は、直腸S状部(直腸とその上部にあるS状結腸の境目)が34.0%、上部直腸が33.2%、下部直腸が32.8%と大きな差はありませんでした。そして、永久人工肛門になった割合は、直腸S状部0%、上部直腸0%、下部直腸36.1%でした。
やはり、発生場所が肛門から離れるほど人工肛門となる確率は下がりますが、下部直腸の場合でも、6割超の方が肛門を温存することが可能となっています。
- 内括約筋切除術の手術を受けるには
直腸がんと診断されたら、一度ご相談にお越しください。
経肛門的内視鏡下手術
- 治療用途
直腸内の腫瘍 - 経肛門的内視鏡下手術とは
通常の大腸内視鏡的治療と異なり、切除部位をきれいに縫合できる安全な手術方法です。
手術後の痛みがなく、入院期間は術後数日です。 - 特徴
肛門から特殊な器械を使って、手術を行います。
腹部を傷を傷つけることなく、直腸内の腫瘍(良性腫瘍・早期がん・カルチノイド)を取り除くことが可能です。 - 手術実績
1991年に当院で最初に導入し、これまで約300名の手術を行いました。 - 経肛門的内視鏡下手術を受けるには
まずは、ご来院ください。
病気に関して、お困りやお悩み事などございましたら、
フォーム:医療相談メール、電話:0942-43-5757からお問い合わせいただくか、直接ご来院いただきご相談ください。