大腸ポリポーシスとは?
ポリープが多数存在している状態を、「ポリポーシス」といいます。ポリポーシスの中でも「家族性ポリポーシス」は遺伝性(優性遺伝)であり、高い確率で悪性化するため、近親者に家族性ポリポーシスの人がいる場合には、定期的に検査を受け、早期発見することが大切です。
主な原因は?
大腸ポリポーシスには、遺伝性と非遺伝性のものがあります。
遺伝性の代表は、家族性腺腫性ポリポーシスで、治療をせず放置するとがん化することがわかっています。
非遺伝性の原因には、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性疾患などがあります。
症状
主な初期症状は、出血・下痢・腹痛・貧血です。
検査法
- 下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)
- 大腸造影検査
- 便潜血検査
- 遺伝子検査
治療法
治療は原則として全ての大腸を切除して、小腸を肛門あるいは直腸につなぐ手術を行います。
大腸全摘によって、便が下痢になったり排便回数が増えたりしますが、薬物療法や肛門トレーニングなどにより、コントロールすることが可能です。
大腸ポリープと大腸ポリポーシスの違いは何ですか?
大腸ポリープと大腸ポリポーシスの違いは次のとおりです。
- 大腸ポリープ
- 大腸の内壁にできる単独または少数のポリープ(腫瘍)を指します。ポリープの多くは良性ですが、一部は悪性化する可能性があります。
- 大腸ポリポーシス
- 大腸に多数のポリープが形成される状態を指します。遺伝性の要因が関係していることが多く、大腸がんになるリスクが高まります。
つまり、大腸ポリープは個々のポリープを指し、大腸ポリポーシスは多くのポリープが発生する状態を指します。
大腸ポリポーシスと大腸がんは関係がありますか?
大腸ポリポーシスとは、大腸の内壁にたくさんのポリープ(腫瘍)ができる状態を指します。ポリープのほとんどは良性ですが、放置すると一部が悪性化して大腸がんになることがあります。そのため、大腸ポリポーシスと大腸がんは密接な関係があります。
特に腺腫性ポリープはがんに進行するリスクがあるため、定期的な検査と適切な管理が重要です。現在では、早期発見と適切な対策を講じることで、大腸がんの発症リスクを大幅に減らすことができます。
大腸ポリポーシスは、遺伝しますか?
大腸ポリポーシスは遺伝することがあり、いくつかの遺伝性疾患が原因で大腸に多数のポリープができることがあります。
- 家族性大腸腺腫症(FAP)
- APC遺伝子(細胞のがん化にブレーキをかける物質を作るための情報)の変異が原因とされ、数百から数千のポリープが大腸にできます。適切な治療を受けない場合、大腸がんに進行するリスクが高いとされています。
- リンチ症候群
- 大腸ポリープの数は少ないものの、若年で大腸がんを発症するリスクは高いとされています。また、子宮内膜がんなどを発症するリスクも高いとされています。
- その他の遺伝性ポリポーシス症候群
- ポイツ・ジェガース症候群や家族性若年性ポリポーシスなど、他の特定の遺伝子変異に関連します。
これらの遺伝性疾患は、通常、親から子へと遺伝するため、家族歴のある人は早期の検査や定期的な検診が推奨されます。
大腸ポリポーシスの初期症状にはどんなものがありますか?
大腸ポリポーシスの初期症状は多くの場合、無症状です。特にポリープが小さくて数が少ない場合は、症状が現れないことがあります。
ポリープが大きくなったり数が増えたりすると、以下のような症状が現れる可能性があります。
- 便の変化
- 下痢や便秘が頻繁に起こる場合があります。便の形や色にも異常が現れることがあります。
- 血便
- 大腸内のポリープが潰れたり傷ついたりすると、便の中に血が混ざることがあります。
- 腹痛や不快感
- 大腸内のポリープが増えると、腸の通り道を塞ぐことがあり、腹痛や不快感が生じることがあります。特に排便後に腹痛が生じる場合は注意が必要です。
- 体重減少
- 大腸ポリポーシスによる出血や便秘、食欲不振などが原因で、体重が減少することがあります。
これらの症状が必ずしも大腸ポリポーシスを示すわけではなく、他の消化器系の疾患や健康問題が原因である可能性もあるため、気になる症状がある場合は専門医の診断を受けることをおすすめします。
大腸ポリポーシスは何歳ぐらいから発症しますか?
大腸ポリポーシスは、遺伝性のものと非遺伝性のものがあり、発症年齢は以下のようにそれぞれ異なります。
- 家族性大腸腺腫症
- 通常10代から20代にかけて発症することが多いとされています。家族性大腸腺腫症は、APC遺伝子の変異によって引き起こされ、若い年齢で多数のポリープが大腸に現れるのが特徴です。
- リンチ症候群
- 20代から40代にかけて発症することが多いとされています。リンチ症候群は大腸がんのリスクが高く、定期的な検診が重要です。
- 非遺伝性大腸ポリポーシス
- 非遺伝性のポリポーシスは年齢とともに発症リスクが増加します。一般的には40歳以降に発症することが多く、50歳を過ぎるとリスクがさらに高まります。
家族歴がある場合や遺伝性のリスクがあると考えられる場合は、若いうちから定期的な検査を受けることが重要です。
大腸ポリポーシスと診断された場合、日常生活で気をつけることは?
大腸ポリポーシスと診断された場合、まずは定期的な検査が欠かせません。内視鏡検査や血液検査などを定期的に受け、ポリープの変化や新たなポリープの発生を早期に発見することが重要です。
食事面では、食物繊維を多く含む野菜や果物、全粒穀物を積極的に摂取し、バランスの取れた栄養を心がけましょう。高脂肪食や加工食品の摂取を控え、腸への負担を減らすようにします。
運動も大切です。ウォーキングや軽いジョギングなどの適度な運動を日常生活に取り入れることで、消化機能を助け、体重管理にも役立てます。
生活習慣としては、禁煙を心がけ、過剰な飲酒を控えましょう。また、ストレスは体全体の健康に悪影響を与えるため、リラックスしたりストレスを上手に管理することも大切です。
腹痛や血便、便秘や下痢の繰り返しなどの症状があれば、すぐに受診してください。日々の体調や症状を診察時に伝えることで、より適切な治療やアドバイスを受けることができます。
さらに、家族や友人に病状を理解してもらい、サポートを受けることは精神的な支えになります。同じ病気を持つ人たちと情報を共有し、支え合うことも効果的です。これらの点に注意しながら生活することで、健康を維持しやすくなり、QOL(生活の質)も向上すると思います。